再石灰の後は「脱灰、ベーチング」→「ピックル」→「鞣し」の順です。
石灰に漬かった皮は、アルカリの状態なのでかなり膨らんでいます。
脱灰する事によって、元の状態にします。
またベーチングは皮の表面に柔軟性を持たせ、毛根や不純物を再度取り除く役目をします。
この2つは続けてドラムの中で行なっていました。
そして「ピックル」でPh調整をして「鞣し」をします。
つまり、この「ピックル」から先に鞣しが行なわれると 「皮」が「革」になる訳です。
漢字は本当に良く出来ていると思います。「鞣し」も「革」に「柔」がくっ付いて「鞣し」になる訳です。
実験した事は無いですが、きっとこの「ピックル」で作業を止めてしまうと皮は固くなってしまうでしょう。
昔、この先の「鞣し」が上手くいかなくて、カチカチの革になってしまった経験があるのでそんな感じがします。
以前、㈱中村千之助商店ではピット(渋槽)の鞣しをしていました。
写真のプールのような槽にはミモザやケブラチョなどのタンニンが溶解されています。
その中に皮が入ってます。
渋鞣しでは酸性の状態で鞣しますが、急に濃い濃度の渋に浸けてしまうと皮の吟面と床面に急速な鞣しが進み、中まで渋が通らなくなってしまいます。
そこで、徐々に渋の濃度を上げていく方法をとります。
この槽の中の皮を一枚一枚、次の濃度の槽に移動させていました。
水分の含んだ皮を移動するのはかなりの重労働でした。
鞣しをしている場所はほとんど外に近い状態なので、冬は手が痛くなるほど寒く、夏は汗だくの作業です。
今でも取引先の工場を訪れると、「本当にお疲れ様です。」と言いたくなってしまいます。
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