8/10/2010

皮が革になるまで(その2)

水戻しの話の前に前回原皮の話で補足がありました。
原皮にもフレッシングされているフレッシュドハイドとされていない原皮があります。
フレッシングとは皮の裏側(肉側)の脂肪など余分な物を取り除く事です。
フレッシングされていない原皮は水戻しや石灰浸けの後にフレッシングします。

2.水戻し(水づけ)

原皮が入荷した状態は、表面(毛の生えている面)にゴミや虫や糞なども付いていますので、これを取り除かなくてはいけません。
ましてや、遠く船に乗ってコンテナで運ばれてくる原皮は乾燥したり、防腐剤や塩が付いていますのでなおさら綺麗にしなければなりません。
ここで難しいのは、太鼓に入れて水温が上がるとバクテリアが増えてしまい、皮の表面にダメージが出ますので水温とPh(ペーハー)の管理が重要です。夏場は特に気をつかいます。また乾燥しすぎた皮は水分が浸透しにくいので、浸透する促進剤などを使う事もあります。

3.フレッシング
水戻しの後はフレッシングをして余分な脂肪などを取り除きます。
この後の作業の石灰、脱毛を行なう際に必要の無い脂肪などがあると、薬品の効果が均一にならないからです。その後、ドラム(太鼓)で洗ってから、背割りをして皮を半分にします。
背中で割るので、右側と左側に分かれます。
家具用や自動車用など大きな面積が必要な場合や小さい動物(仔牛、ゴード、シープなど)を鞣す時は、半分にしません。

4.脱毛、石灰漬け
石灰に浸けて、皮を膨らませ、毛根を抜けやすくする。
このときに硫化、水硫化を使い強アルカリにすると毛が溶け出すが、あまり急激にアルカリに持っていくと膨潤が早くなって毛先だけが溶けてしまい、毛根が残ったりしてしまう。
結構これが難しかった・・・・。
強アルカリだから皮も傷みやすく、あまりアクションを加えると後で染めムラが出たり・・。
これが脱毛石灰の後の皮です。ゴミみたいにグレーな物が毛が溶けたり抜けたもの。
水洗いの前に毛根のチェックをした時の貴重な画像です。



この辺の作業は通常の太鼓ではなくパドル(私はハスペルって呼んでたけど。)を使います。
通常太鼓と言うとこれです



これがパドル(ハスペル)です。半分上が開いてます


次回は「分割」「あかだし」かな?
「あかだし」って言っても味噌汁ではないのでちゃんと次回も見てください・・。
 

0 件のコメント:

コメントを投稿